テキストサイズ

僕ら× 2nd.

第9章 城 --Khs,Kn,R

また、眠ってしまった……。

まさに今、キミに欲情してる男の前で、やすやすと眠れるなんて。
俺、どれだけ警戒されてないんだろ…。

じゃ、気づかれないかな?
触らないなら大丈夫かな?

少し見るくらいなら…?

少しだけ…なら…。

俺の幻想でしかなかったキミの身体……。

そろっとセーターをたくし上げてブラウスのボタンを外していくと、白い肌が見えてくる。
俺の目が、胸の谷間をとらえる。

その柔らかそうな膨らみに口づけるかのように唇を尖らせてみると、顔を近づけたくてたまらなくなる。

途端にカッと血がのぼり、ブラウスごと下着を剥ぎ取ってしゃぶりつく自分の姿を想像した…。

このままではいけない。

「くっ…」

身体を引き剥がした俺は隣接の、小さな個室に身を入れる。
額に手を当て自分を静める。

正気を取り戻せ、伊織。
竹崎だってどんな辛い思いをしたのか知っているだろう?
あいつの傷は癒えないかもしれないんだぞ?
そして、レイプじゃなくたってこれは花野への裏切り行為だぞ?

好きだからって、何をしてもいいわけないだろ?
堂々と花野の前に立ちたいだろう?

お前がここに居る理由を考えろ?
自分の進むべき道を見失うな?

……俺の頬に伝う涙は、ポタッと落ちて胸元を濡らした。

天井を仰ぎ目を閉じて、「ううっ」と俺は低く呻く。

キミへの欲を空に放ち、焦燥感を抱いたままの俺は再びキミのもとへ。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ