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僕ら× 2nd.

第9章 城 --Khs,Kn,R

***

フォンデュフォークに刺して口に運ぶキミに、いたずら心で声かける。

「食べさせて?あーん」

「世尾さんったら、私より年上なのに赤ちゃんみたいですよ?」

「年上なのにね」

「…もしかして、年下でしたか?」

"数時間だけね"と頭に描き、ニシッと笑う。

「やっぱり似てますね、伊織君に」

そっと笑うキミに言う。

「そっかぁ。伊織君って相当カッコいいんだなぁ」

すると爆笑で…、おい。

「カッコよくないの?」

俺が残念そうにキミを窺うと。

「ふふふ。とってもカッコいい」と声をひそめる。

あーっ、もう!
抱き締めたいったら!

「そうだ!花野ちゃんの誕生日はいつ?」

「あと1週間ちょっとです」

「えっ?それじゃお祝いしなきゃ!クリスマスどころじゃなかった!」

俺はわざとらしく服のポケットを探る。

「な、何かないかな…。えっと」

「いいですよ、そんな!」

「じゃ、この後予定してるマーケットで、気に入ったのあったら教えて?今日の記念に!」

キミが返したメールはすぐに、返信されて。
その返信にキミが迷う間にも、キミのスマホはまた揺れる。

アル兄。
この旅行中は、俺が守るから。
なんて言ったら、血相変えてやって来るかな。

「彼氏と仲良いんだね。伊織君の存在は薄くなっちゃった?」

ごめん、これは俺のヤキモチ。
こんな意地悪な聞き方の俺に、キミは首を横に振る。

「それでも、伊織君はいつまでも大切で特別なんです。さっきも夢に出てきてくれたんですよ」

と泣きそうな顔で笑った。

フラウっ!
俺のフラウリィ!

「ありがとう」

「え?」

「伊織君になって返事してみた」

ありがとう、モン プチ フォリー(俺を狂わせるキミ)。

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