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僕ら× 2nd.

第9章 城 --Khs,Kn,R

***

「祐一朗。お前にしては反抗的じゃないか。どしたんだよ?」

担任が去った後の大部屋に自分のスペースを作りながら、俺は尋ねた。

「リーダーがしたかったんだ。楽しそうだから」

「え?そうなのか?」

「後から混んでくるだろうから、先に風呂行っとく?」

「そだな!一番乗りなら、女子が入ったすぐあとの浴槽だもんなっ!」

座って顔をしかめていた河邑が、途端に笑顔になってテキパキと準備を始めた。

「そんなときめくことなのか?」

「気分よ、気分!ヨーダだって、宮石の直後につかりたいだろ?」

「………」

「あー、赤くなってるぅ?」

「なるか!」

とか言いながら入った風呂。
ソワソワとして少しだけ落ち着かなかったのが本音。

その後の大部屋で。

結局、異変のある生徒は出なかったものの、俺たちは予定していたグループ見学を養護教諭引率見学に切り替えられた。
歴史的宣言が行われた宮殿などを男ばっかりの団体で巡る。

その合間に担任に呼ばれていた祐一朗が戻ってきた。

「検知器の誤作動だったらしいよ」

「はっ?硫化硫黄出てなかったのか?」

「腐敗臭はあったらしいから、微量はあったかもね。だけど、高濃度にやられると、臭気も感じなくなるとか」

「俺らの修学旅行、呪われてるの?」

そもそもが、暴動で延期だったし。

「これで収まるといいね」

祐一朗が笑顔で肩をすくめた。
こいつ、このアクシデントを楽しんでるだろ…。

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