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僕ら× 2nd.

第9章 城 --Khs,Kn,R

俺たちが本日宿泊予定のペンションについて食堂に向かう途中、彼女が廊下を歩いているのが目に入った。
俺の胸にひとすじの安堵が灯る。

「花野ちゃん!今、帰り?」

横で森みがニヤッと「私、先に行ってるね」と言い、ふわっとした包みを大事そうに抱えた彼女はニコッと返した。

「晄志君、今日は何か大変だったみたいね」

「ああ、いやそんなことはどうでもいいんだ。知ってるガイドだったって?」

「あ、うん。そうなの。良いお兄さんでね。お城とか案内してもらったんだよ」

「そっか。…で、それは何?」

「誕生日がもうすぐだって言ったら、買ってもらっちゃった…」

「へぇ…。ぬいぐるみ?」

「そう。テディ・ベア!」

そう言って嬉しそうに笑う彼女に、俺は不安を覚えた。
これは、ただの知り合いレベルじゃない…。

「優しくしてもらったんなら、それはそれでいいんだけど。今日、ガイドとふたりでまわって、それを買ってもらったことは、アル兄には言わないほうがいいよ。俺のいないところで男と楽しんだんだなぁって思われるから」

幸せそうなところ水を差すようで悪いけど、俺が心配した彼女は無邪気すぎて。
正直、腹が立った。

「そ、そかな…。私、よくなかった?」

テディの袋を見つめた彼女は下唇を噛んで…、あっ、泣きそう…?

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