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僕ら× 2nd.

第9章 城 --Khs,Kn,R

~世尾湊(リース)side~

彼女たちが休むペンションの断崖に面した窓。
そこから降りてきた祐一朗は、停めたクルマに入ってくる。

「楽しんでる?」

「うん、面白いよ。人の心理ってのは」

払い損ねた膝の砂を祐一朗は少し手でなぞるも、諦めてシートに座りなおした。

「ああ、怖いね。で、小柴さんには会えた?」

「いや。見送りメールは来たけど、姿はみてない」

「そっか。他には?」

「あれきり。ああ、ありがとう」

祐一朗は孝明から湯気のあがるカップを受け取った。

「気になるな。俺やっぱ、一緒に帰るよ」

そう言うと、孝明が首を傾げて尋ねてくる。

「え?大学は?」

「俺、卒業単位はクリアした」

「ええっ?いつの間に?」

お前、俺とひとつ屋根に暮らして克つ同校に通ってたじゃないか?
俺が何をしていたか、あまり興味もなかったか。

そういう良い性格の男だからこそ、小柴さんに選ばれたのかもしれないと思った。

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