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僕ら× 2nd.

第10章 …---… --Shu,Ar

見送ったその道中でアルが歌いだす。

「花野ちゃん、花野ちゃん。おーれの花野ちゃん、可愛い花野ちゃん。ふっくらぽよよんっ」

「何だよ?その歌は…」

「くりくりおめめの花ぁ野ぉちゃんっ。早く会いたいよぉっ」

「あー、がんばれ。とりあえず、向こうに着いたら連絡あるだろ?」

「うー長ぇ。俺も、行きてぇ」

幼児に戻って駄々をこねだすアルを連れて、自宅へ帰る。

すると昼前に久々に親父に呼ばれた。

親父と本條に挟まれて、俺たちは並んで立つ。

「アル。どうも本気でつきあってるみたいだな?」

やっぱきたか。
以前に彼女のことで取り乱すアルを、本條に見られてるからな。
だけど、何でこんな殺気立つんだ?
俺は身体を動かさずに、その場を観察した。

「何の話?」とアルはとぼけるけれど、親父は表情をかたくして続けた。

「あのコと別れろ。伊織の彼女から手を引け」

「違ぇよ。仲良くして見えるだけ。あんま言うなよ」

”伊織の彼女”という言葉にアルは眉間にシワを寄せる。
嫌だろうけど、堪えろよ?

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