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僕ら× 2nd.

第10章 …---… --Shu,Ar

「怪しいのはこの家だろ?彼女の家のこと、変に調べるなよ。お前、"彼女のことはお前に預ける"っつったよな?」

今や、不服が顔全体に表れているアルが言う。

すると大きく息を吐いて、本條が説明しだした。

「本気で付き合えとは言ってないだろ。それに、状況が変わったんだ。あそこに送り込んだ舎弟が何人も消えてる」

「だから、送るなよ…。え?」

消えてる?
花野ちゃんの周辺で、そんな怪しい動きは認めたこともなかった。
終始見張っていたわけでもないけど。

「おかしいだろ?あの家は素人じゃねぇ。関わるな」

関わるなって。
親父たち、もしかしてアルを心配しているのか?

「だからって彼女は関係ねぇ」

そりゃそうだ。
花野ちゃんが舎弟の失踪に絡んでるわけねぇ、直接は。

「そうはいくか。とりあえず宮石家には何かが潜んでる。それがわかるまでは接触するな」

「舎弟がドジなだけだろ?」

宮石家と見せかけてどこか違う場所で足止めされてる可能性もなきにしも…。
だけど、本條はたたみかけてきた。

「今まで宮石家を任せていた小柴もいなくなった」

「え…」

言葉をなくした俺は、和波さんの結婚式でアルを牽制した鋭い瞳の男を思い浮かべ、それとともに。
俺に娘がいると判明したあの夜に、小柴に呼ばれた内容を思い返した。

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