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僕ら× 2nd.

第10章 …---… --Shu,Ar

***

その日の晩のことだった。
親父の部屋に向かう俺の後ろ、振り返ると大輔だった。

「俺も呼ばれた」

そう言うけど、俺は呼ばれた覚えはないな。
と、自分のスマホを覗いた瞬間。着信した。

2人でドアをノックする。

それは親父の事務所で、親父と本條がいて。

小柴不在中の諸々について聞いたあと、アルの件を切り出そうと思った俺を遮って先に向こうの話が始まった。

「えっ。女、送り込んだんですか?」

親父からの話に、俺は大輔と顔を見合わせた。

「ああ。こんなことでお前らを煩わせるのも酷だろ?」

そんな心遣いは微塵もないだろうに、よく言うよ…と内心思った。

「あいつも他の女とヤれば吹っ切れるさ。
それを写真に収めて別れさせる」

アルの浮気現場激写ってわけか。
すげーこと考える親だな。

「…いつ?」

「お前らと入れ違いに。いい女だから堪能してんじゃね?」

なら、15分程前か。
だからって、アルがその気になるんだろうか?
そりゃ年末から、あっちの方はご無沙汰してたみたいだけど。

「そろそろ様子見に行くか」

「おい、ヤってると思うか?」

親父について行きがてら、大輔に問う。

「いやぁ」と大輔は困った顔を更に困らせた。

そうだよな。
どっちにしても、アルの現場訪問なんて、したくねぇよ…。

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