テキストサイズ

僕ら× 2nd.

第10章 …---… --Shu,Ar

「俺、親父らを説得に行ったろ?その時、言われたんだ。宮石家の潔白が明らかとなったら、いくらでもつきあってかまわねぇって。お前の本妻はグループ内からだけど、飾っておけばいいさ。花野ちゃんには、必ず迎えに行くって説明して、いつか」

「側室として来てくださいってか?」

「はんっ」とアルは喉で笑った。

「書類上はそうであっても、実質は正室だ。親父らはさ、お前と花野ちゃんを引き離して、宮石家が動き出すのを狙ってるんだよ。だから、別れても何もしない宮石家を見て、納得してくれるだろう」

実行するなら、少しでも現実的な計画にしなくては。
そう思いながら俺は、耳を澄ます。

5時を回り巡視の時間か、部屋の外からカラカラとワゴンの走る音が聞こえてきた。
早朝の採血の時間だな。
それなら、もうすぐこの病室にも来るだろう。

さっき動かした点滴類がねじれてないか確認し、廊下の物音との距離を測りつつ、ひそっと2人の会話を続ける。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ