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僕ら× 2nd.

第10章 …---… --Shu,Ar

「アル。花野ちゃんには嫌われてなんかないと、俺は思うよ?親父さんは都合のいい事実を断片的にしか話してないはずだ」

そう言う俺にチラと、アルは冷めた瞳で返す。

「これが現実だって、柊。夜明け前より一層暗くなったなぁ」

彼女の指輪を小指にはめて、そっと撫でこする。

「花野ちゃんからのライン、何だって?」

罵詈雑言なんて浴びせる彼女ではないだろう?
それとも"別れて"とか?

声のトーンを敢えて明るくした俺に、アルの表情は釣られることなく、ボソッと返ってきた台詞。

「…退会しました、だって」

え?
いきなりシャットアウト?

言葉では信じなかったって親父、言ってたよな。
てことは、アルが母親にトドメを入れてる写真だけで?

いや、充分な衝撃か……。

彼氏が殺人者なんて、別れるに足りすぎる理由だよな…。
一気に冷められても、文句なんか言えねぇ…。

だけど、あれは…もう死へ送るしかなかった処置……。
その経緯を説明したって、俺たちの環境の異常さを知られるだけか……。

何もしない、以外に俺たちにできることはないのか?
大輔もどう慰めようかと思いながらも言葉がない様で、ただ突っ立ってる。

俺が言葉を探すうちに、アルは弱音を吐いた。

「俺、総帥なんてしたくねぇよ。観光バスの運転手になりてぇよ」

え?
ここで突如、バス運転手?エンジニアはどうなった?

まあ、どっちも夢見るのは自由だけど。

「ごめん。俺のせいで」

俺と彩華さんをかばったから行動が制限されて、こんな事態にまでなってしまって。
枷がなけりゃ、駆け落ちなりできたんだ。

「ちげぇよ。俺が弱かったんだ。うん、花野が家に着いた。おかえり…花野」

スマホ画面を見つめて、彼女に話しかけるように口の端をほころばせた。

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