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僕ら× 2nd.

第11章 フェイス --Mkt,R,Kn

~世尾湊(リース)side~

搭乗手続きを済ませて、俺は一般客として彼女らの機に同乗する。
席を探すふりしてウロウロと周りを窺うのは、もう癖。

だから気づいた。
あの3人、親しく喋っていたのに別々の席。
まだ空席はあるのに…。

偶然の再会か?
それでも、わずかに目配せしあって…あやしい。

ゲートでの犯罪者検知モニターには要注意人物としてはあがらなかったけど。

ならば、と俺は向きを変える。
そして、3人の中でリーダー格っぽい男に近づいた。
旅慣れてない風を装って。

「あのー、そこ、ボクの席じゃない?」

「え?」

俺と同じような肌色をした男は、ジロッと見たあと自分のチケットを取り出す。

「俺は合ってる。お前は別のとこだろ」

「これなんだけど、わかる?」

「それ、あの向こうだ。窓から2番目の」

「え?どこ?目が弱くて」

「仕方ないな。来いよ」

同郷言語をかわす俺に施しのチャンスを見いだした男は、立ち上がって案内してくれた。

これはいい。

下剤を盛ろうと思ってた俺は手を変えて別の小さな容器をポケットから出し、男の座席にふりかけた。

「ああ、そこかぁ。助かったよ」

そして、それぞれは自席におさまる。
もしかして只のいい人だったならゴメンねって心の中で謝った。

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