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僕ら× 2nd.

第11章 フェイス --Mkt,R,Kn

機内の彼女は目を閉じて、胸に重ねた手を当てて。
あんまり見ているとエロ親父扱いされるかもと思った俺は、静かに本を読む。

幸いにも、あの3人に目立った動きなく。
陸に着いて、男はやっぱり慌てていたけど、俺は素知らぬふりで通り過ぎた。

ま、あの機敏な乗務員と通じてたようだから、なんとかなるだろ。
気づけば衣服とシートが接着されていたなんて、一生に一度あるかないかの楽しいハプニングじゃない?

ということで、ターミナルビルで彼女らが待機しているうちに、孝明に電話する。
いたずらメーデーが発信されたと報せを受け。

「そのボロ家に送られてきたのか?」

「ううん、アル兄に向けて。音声が流れた時は、すっごく焦ったよ。リィ兄の乗ってる機だし。だけど偽情報でよかったね」

孝明は暢気に電話口で笑った。

あれ?
本国の通信って俺、出掛けがけに遮断しなかったっけな?
だけど親父たち、何でわざわざそんなことを?
怪しい3人+α も現に乗っていたことだし。

彼女を本條の部下が張ってると聞いて、まさかとは思った。
ここへきて、花野の身辺を探るなんて。

アル兄が本気の恋愛をしていたとしても、そんなの意に介する親たちではないだろ?
遊んでこそ男だと高らかに言う連中なのに。

政略結婚の相手方に難癖つけられたのか?うーん。

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