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僕ら× 2nd.

第11章 フェイス --Mkt,R,Kn

急いで湊に戻って、その部屋へ。
前に祐一朗が立っていて、手で挨拶して、すぐに俺はドアを開ける。

奥まった一角、半開きのカーテンで仕切られたベッドに彼女は横になっていて、傍には音楽教師。

「宮石の兄です。妹が倒れたって聞いて…」

息をきらして駆けつけた風の俺を、彼女はチラっと見てわずかに口を動かした。
顏から血色が抜けてる…。

「あら、お友だちから連絡がいったんでしょうか?すみません。こちらからお知らせしなくて。それにしても早いですね」

そりゃそうさ、同じ機体に乗っていたんだから。
だけど、それには答えずに俺は質問する。

「先生、何があったんですか?」

「飛行機から降りて疲れてそうだったから、休んでもらってるんです。先ほど、お医者様に何か食べたか聞かれて、お友だちに飴をもらったっていうから、それが飴じゃなかった可能性もあって…一応、水を飲んで吐いてもらって。だけど目立った中毒症状もないみたいで少し安心していたんです」

「飴じゃなかった可能性って何ですか?」

「どうも間違って防虫剤を口に入れた生徒がいるらしくて、そのコが今、向かいで処置を受けてて」

ああ、、お大事に…。

「花野。どこがしんどい?」

兄貴面で尋ねる俺に、視線を合わせた彼女は力なく首を横に振った。

目の焦点は合っている。
脈も…特に、と俺は彼女の手首に指を当てて確認。

無理やり吐かされたために憔悴しているのか?と思ったけど、そのまま彼女の柔らかな手を包んだ俺はハッとした。

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