テキストサイズ

僕ら× 2nd.

第11章 フェイス --Mkt,R,Kn

「先生は花野とずっとここにいらしたんですか?」

悪意があるかどうか…この先生。
俺が知る限りは、中学で世話になった根岸顧問の彼女だけど。

「ええ。お医者様を呼びに行って、それからはずっとここに」

…てことは、若干の間、花野だけがここにいた。

ここは1階。
進入路は祐一朗の張っているドアだけではない。

花野が指輪をつけてないのはいつからだ?
記憶を遡ろうにも、はっきりとは覚えてなくて。

航空機内では気づかなかった。
つけてたからじゃないのか?

誰が外させた?治療のために?
ネックレスはつけているんだから、気に留めることではないのか?

本人に尋ねようにも……。

もう一度、医師の診察を受け、大事はなさそうなので帰ることになり、無理を言って俺はクルマに乗せてもらう。
先生の中では、花野の彼氏となっていた祐一朗も一緒に。

花野…帰りもアル兄と待ち合わせているはずなのに、直接自宅へ向かうってことになっても連絡を取ろうともしない。

そこまで気が回らないのか?
察した祐一朗が連絡を入れてくれた。

おかしいとは思ったけれど、未だ目をつぶりがちな彼女に必要以上に声をかけることもできず。
そのまま、玄関先に彼女を送った。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ