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僕ら× 2nd.

第11章 フェイス --Mkt,R,Kn

~宮石花野side~

空に浮かぶお月様。
丸く均一に見えるあの月も、含まれる成分には片寄りがあり、オモテ側が重くなっている。
そのため月の重心は、真ん中ではなくてオモテ側に寄る。

この惑星と引き合い、バランスを保つように腰を据えるように、常に同じ方向を向いて。

だから、月はいつも私たちに同じ顔を見せている。

クレーターだらけの月の裏側は、この星から見えない。
無数の隕石にその身をへこませても、裏側だってオモテ側と同じだよと言うかのようにひっそりと。

満ち欠けはするものの、いつもウサギの住んでる穏やかな月。

彼もそうだったの?

私の知っている彼は、本当の彼じゃなかった。。

だからって、だからって、嫌いになんかなれないよ。

彼の温かさ、優しさ、まっすぐな言葉、いたずらな瞳、無邪気な笑顔。

私が一番よく知っている。
あれが彼の真実の姿。
そう思っているのに……。

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