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僕ら× 2nd.

第11章 フェイス --Mkt,R,Kn

「あいつのために別れてくれるよな?
キミとは終わりだと、その証にこの指輪はもらっていくね…」

そう言った。
彼の父だと名乗るあの人が、指輪を抜き去るのを私は拒むことができなかった。

あの日、私は悪夢を見たんだって、次の日には元通りなんだって、そう思いたいのに…。

「大きな声じゃ言えないが、侑生は人殺しなんだよ。親しくなった女性は殺さずにいられない。そういう歪んだ愛情の持ち主なんだ」

「この、女性は…どなたなのですか?」

作り物としか思えないような鮮明な赤の写真。

彼は手に握っていた。
よくは見てられなかったけど…その先は女性の首に裂け目を作り…。

「侑生の大切な女」

「今は、生きて?」

「まさか」

「侑生君は、こんな怖いことしませんよ…」

いつの写真かはわからなかったけど、いつであったって否定したかった。

「あの。お芝居じゃないんですか?侑生君って、血糊を実物よりそれらしく作るって聞いてますし…」

器用な彼の創作…きっと文化祭の出し物なんだって思いたかった。

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