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僕ら× 2nd.

第11章 フェイス --Mkt,R,Kn

「本人だよ、これ。作り物でも何でもない。
キミもわかってるんだろ?

侑生もそんな自分を変えたくて、キミと付き合ってみたけれど、黒い気持ちは膨れ上がるばかりで。

だから私に言ったんだ。彼女を殺してしまいそうだから別れたいって。
お嬢ちゃんが次に侑生に会ったなら、それはキミが死ぬ日なんだよ」

そんなの私にはわからない。
そんなの私は聞いてないっ。

「そんなこと、ないです。侑生君はそんなこと、しないっ」

だけど、侑生君のお父様が直々に説明してくださるんだ。
認めたくなくても、これが現実…なの…?という思いが浮かびだす。

だからわざわざ空港診療所まで訪ねてくださったの?
彼よりも先に私に伝えるため…。

「私もそう願ってるよ。あいつがこれ以上、人を殺めないためにも。もう未成年でもないしね。

白状するとね、キミが旅行に行ってしまって、離れてしまって、侑生は堪えきれなくなったんだ。自分の手の届かないところにキミが行ってしまうくらいなら、いっそこの手でって」

旅行っていっても普通の修学旅行で、連絡もしていたのに…。
ラインの内容だって、いつものように優しい彼だったのに…。

どうして?どうしてそうなるの?

私、そんな不安にさせるようなこと……。

してない、と思った。
だけど、すぐに思い出す。

私…世尾さんに会ったんだ…。
世尾さんにマフラーを借りて、手を繋いで、ぬいぐるみを、もらった。

ドキドキ、した……。

そんなこと私からは話したりしてないのに、浮気だなんて思ってもないのに、侑生君は気づいたんだ、そんな私の気持ちに。。

それでも。
親しくなった女性は殺さずにいられない。
そういう歪んだ愛情の持ち主……侑生君が?

会えない時も、手を振ってくれたあの侑生君が?

そんなの、信じられないよ!
信じられるわけないよ!

私は優しい侑生君を信じたいよっ!

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