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僕ら× 2nd.

第11章 フェイス --Mkt,R,Kn

本人に会うまでは信じない。
侑生君に会えば、そんなの嘘だって笑ってくれる。

そう思うのに、戸惑いは更に渦巻いていく。

「あいつね、キミの旅先に乗り込もうとしたんだよ。それを阻止しようとして、柊…知ってるね?柊が刺されて今、入院してる」

シウ君が刺された?
あんなに仲がいいのに?
私が他の男性にふらついたから?

「侑生君が、シウ君を刺したんですか?ひどいケガなんですか?」

「ケガの具合はまあ、生命に別状はないよ。柊も鍛えてるから、そうそうやられない。
でも、キミだとそうはいかないだろ?

疑うなら、病院に尋ねてみる?守秘義務で教えてもらえないかもだけど、キミの同級生の父兄が医者なコとかに聞けるんじゃないかな?」

「疑ってはいません。だけど、信じられなくて。
侑生君は素手だけで強いのに刃物なんて…。
それに、大切な女性がいたなんて…」

だって彼は、私が初めてだって言ってた。
初めて好きになったって……。

私と付き合う前に、殺したいほど好きになった女性がいたの?
私、これが一番のショックなのかもしれない。

彼女はもう、生きてないっていうのに…っ。

「殺して自分のものにするなんて、屈折してるよな」

「本当、なんですか?」

前に好きな人はいたけど、今の俺が好きなのは花野だよ。
って、言えばいいだけのことだもの…。
そりゃ、ちょっとは妬くけど、隠す必要のないこと……。

殺しちゃったから、言えなかったの??

侑生君のお父様は、静かに重々しくうなずいた。

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