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僕ら× 2nd.

第12章 IF --Khs,Ar,Shu,R

夕方となり、お開きに向かっていると、女子がドアから顔を覗かせた。

「居松君、ちょっと委員会のことで…」

そう言って、祐一朗を手招く。

「え?何かやり残したっけ?」

首を傾げながら彼は廊下を出た。


そこで当然、動き出すのは小津と森み。

「何?誰?」

と、廊下から外を窺い、2人示し合わせたように足音をしのばせて出ていった。。


…てことは。
今現在、ふたりっきり?

片づけの終わった音楽室で、そんなこそばい緊張を解こうと、俺は彼女をピアノに誘う。

「5月のイベントでの曲、聴かせてよ?」

「え?うーん。じゃあ、ダメだし20コしてもらおう」

そうして彼女は始め、俺は浸る。


俺が望むのは、こんな風にキミの隣。

俺もピアノが弾けたらなぁ。
祐一朗みたいにギターでもいい。

そしたらキミに、そっと伝えられるのに。
きっとわかってもらえるのに。
”好き”とかそんな言葉じゃなくて、この言葉にし難い、だけど明らかに存在する気持ちを。

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