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僕ら× 2nd.

第12章 IF --Khs,Ar,Shu,R

一旦は立ち上がった脚だけど、すぐに膝をつき、動かし方をプログラムされていないかのようにへたりこむ。

くそっ、何で歩けない?
あの2人は無事なんだな?
さっきのは夢だったんだな?

戸惑ううちに煙が引いていき、俺は目を凝らす。
木々を押し倒して機体の残骸が散らばる中、体中裂傷だらけで抱き合うふたりと対面していた。

なんだ?これは。

あの操縦不能は親父らのデマカセだっただろ?
それに、伊織が乗ってるわけねぇだろ?

そんな、ありえねぇよ。

彼女の乗った飛行機は、墜落なんかしてないはずだ。
空港まで無事着いて、親父に会ったはずだ。
生きて家に帰っているはずなんだ。
俺のことは、見捨てても…。

そこで横になっているのが、花野だなんて。
花野がもう目を覚まさないなんて。

そんなわけ、ねぇよ。


だとしても……治せるさ。
どうにかして、治してみせる。

なあ、花野。
俺の傍に、いてくれるよな?
笑ってくれるよな?

伊織を選んでもいいから。

俺から遠く離れてなんて、いかないよな?

力の入らない手でもって俺は、スマホから緊急電話をかけようとするけど、肝心の電源が入らない。
周囲を見回しても、何も…。

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