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僕ら× 2nd.

第12章 IF --Khs,Ar,Shu,R

「っ!は…。はぁっ、はぁっ…」

それは、全力でブレーキペダルを強く強く踏みぬいたような。
減速Gが強烈に身体にかかって、そのまま心臓だけが慣性の法則に則って体外に飛び出たような感覚で。

ドンドンと痛むように鼓動が打ち響く中、飛び起きた俺は肩で息をしながら目の前を見つめていた。


ここは、柊の個室。
俺は身体を預けていたソファから立ち上がる。

またか……夢で、よかったっ。

リアリティーがあるようで、ないような夢。
おそるおそる自分の頬から耳を引っ張って、渇ききったノドに少しの唾を飲み込む。

もう何回も見てるんだから、途中からでも展開を思い出せればいいのに。
目覚める前にわかっていれば、こんな悪酔いのような苦々しい不快感を味わわなくていいだろうに。

ベッドに眠る柊は、静かで。
起こさなかった?なわけないよな。

寝たふりをしてくれてる。


花野と別れてから俺は、1人で眠るのが怖くて。
いや、心細いとかそういうのじゃなくてさ。

また、親父らに何か仕掛けられるんじゃないかって危機を感じて。
侵入者センサーも考えたんだけど、そんなのドアにつけても意味ないんだよな。
二重三重のドアでもないから、鳴ったら終わり的な。
だったら2人いれば、対処の仕方も広がるだろ?

なので、柊の部屋で寝ることにしてる。
まあ、催眠ガスとか撒かれて2人とも動けなくなったら、腹くくるしかない。

そしてそれなら、布団も一式持ち込んだらいいんじゃない?って話だけど。
熟睡なんかすると、悪夢をみそうで。

現にみちゃってるんだけどな。


シャワーを軽く浴び、引き出しを覗く。
彼女にプレゼントされた服……その表面をそっと撫でて、下に控える服を取った。

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