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僕ら× 2nd.

第12章 IF --Khs,Ar,Shu,R

~本條柊side~

さて、新年度。
俺はというと、とっくにすっかり元通り。

軽口をたたきながらも常時、何かを考えているような表情のアルとともに、大学にぼちぼちと顔を出す。

昼前、アルに場所取りをしてもらって、俺は食券購入の列に並ぶ。
と、後ろから声をかけられた。

「貴方の相方、この頃ひどいわよ?」

そう言って、久しぶりの彼女は俺の横に並ぶ。
今もネーゼの管理下であるに違いないと思いながら、慎重に俺は言葉を選ぶ。

「どこが?」

「こないだミス・キャンパスに誘われてさ、何て言ったと思う?」

ミスキャン?
なら、局アナからの大モノ狙いじゃねぇのか?
一般男性に声かけてる場合じゃねぇだろ。

そう思いながらアルの方をチラッと一瞥。
スマホを見ているようだが、キャップのつばが邪魔をして口元しか見えない。
あれ?口角上がってる?

いや、歯が見えてる。
間違いなく一人でニヤニヤ笑ってやがる…。

どう見ても変質者だよ、アレ。。
何であんなのに女は惚れるんだ?

「わっかんねぇ」

そう呟いて首を横に振る俺に、彼女は教えてくれる。

「俺のこと、そんなに好きだっつーなら、ここでひとりでシてみろって言ったのよ?」

「…ははは」

お前、またそんなデカい声で…。
これでは、探ってるネーゼ側だって苦笑だな。

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