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僕ら× 2nd.

第12章 IF --Khs,Ar,Shu,R

「いくら顔がいいからってあれはないでしょ?枕目前に本人は必死だったのよ?」

枕目前?
なら、どこぞのお偉方に捧げる前に、アルに奪ってほしかったってか。

けど、そんな便利な男じゃないなんてわかりきってることだろ?

「同情してんの?ミスコンでは、お前も蹴散らされたクチなんだろ?それにアルは本気じゃねぇよ。それがあいつなりの後腐れない断り方」

「それがさ、言うとおりにしたらしくて」

「マジかよ」

「それ見てさ。俺、お前じゃ興奮しねぇって冷たく吐き捨てたらしいの」

「盛ってねぇか?それ」

「目撃者の証言なのよ?」

目撃者?そこで俺は首をひねる。

そんな個人的な場面に、本人以外に誰が居合わせるっつーの?
ミスキャンがアルの前でオナって捨てられた?

悪意ある誰かの作り話じゃねぇのか?

相手にされなかった男か、勝てなかった女か、もともとミスコンを快く思っていない誰か。

「ふうん。だけどアルは俺の知る限り、いいヤツだよ。ま、残念だったな。アルと俺はお前に投票したんだけどな」

「えっ?あっ、ありがとっ」

そこで彼女は頬を染めてうつむいた。
可愛いじゃねぇか。

そうは思ったけど口には出さずに、お互いに食券を買って別れた。

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