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僕ら× 2nd.

第12章 IF --Khs,Ar,Shu,R

席に戻るとヤツは俺に笑みを見せる。

「ふふ。柊、俺、ししっ。どうしたと思う?」

「…どうもこうも、変人のぶっ飛んだ思考回路なんてわかるかよ」

俺が初めから考えることを放棄すると、アルはスマホの画面をキュキュっと袖で拭き、再び不気味に口をゆるめる。
そして、言った。

「花野が、いたんだ」と。

「は?どこに?」

驚いた俺は食事ののったプレートをテーブルに置きながら、彼女に似たコでもいるのかと、その食堂周辺を見回した。

だって、花野ちゃん本人がここにいるわけねぇ。
宮石家動静は、リースや辰巳たちが把握してる。
花野ちゃんだけでなく帆澄兄や和波さん家族や白峯さんたちの所在も。

俺たちと接触しないように、そして、不穏な動きが見られないかも常時。

「俺、完全に嫌われたと思ってたのに、ふふ。いたんだ。俺、嬉しいっ!」

と、いきなり立ち上がって俺に抱きついてきた。

俺が花野ちゃんに見える?
いよいよ狂ったのか?

と心配した俺は、手荒く投げ倒す。
床に尻をつけても笑ってるアルをのぞきこんだ。

「…おい、大丈夫か?」

そう言って伸ばした俺の手を引っ張り、再びに抱きついて、鼻息も荒く喋る。

「聞いてくれよ、柊」

あ、俺が柊だってことはちゃんとわかってるんだな。
一応、安心と思った俺の耳元で続ける。

「俺の、、つけてくれてたんだよ!俺のあげた、ネックレス!」

「へぇ。やっとモニター確認したんだ?」

「そう!だって、怖かったんだ。。もう当然、外してるって思ってたし。遠目に見ても、コートとかセーターで首元なんて見えなかったし。なのに、俺のっ俺のっ、してくれてるんだ!すげぇことじゃね?」

そりゃあすげぇことだけど、お前の反応が激しすぎて、戸惑いのほうが俺は勝ってるんだけど。

「だったら、そう言えばいいだけのことだろ?いちいち抱きつくなっ!おめでとうっ!」

何とか逃れた俺は、テーブル下でダンゴムシのように丸まって喜ぶアルを蹴りながら、先に昼食をとることにした。

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