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僕ら× 2nd.

第12章 IF --Khs,Ar,Shu,R

親父たちの無茶振りには、息子のアルと俺ですら困り果ててるんだ。
枠外から参加のリースは尚更、耐えがたきを耐えているのだろう。

なのに、意味なくクドクド説明することもせず、泣き落としなんてこともしないで盗聴を認めている。

…好感持てるじゃねぇか。

だったら、この潔い士に恩を着せておくのもいいだろう。
こちらから相談したいことも山とある。

この時点で俺は協力すると決めていたんだけど。
あんまり無警戒に受け入れて、次期総帥サイドは甘ちゃんだと思われるのもよろしくない。

俺が渋ったなら、こいつはどう出るかな…?

そして俺は、意地悪な質問を投げ掛けた。

「それでも、会話を聞かれてたってのは気持ちのいいもんじゃねぇよな。なのに、お前は更に自分たちをかばえと言うんだ?」

軽く目を見開いたリースは、ぐっと力を入れた額でうつむいた。

「おっしゃる通り、厚かましいのは重々承知です。お怒りが冷めるのならば、私の指でも耳でもお好きなように」

「そんなマズイもん、いらねぇよ」

そんなセオリー通りのセリフは望んでねぇ。
なら、どうする?

俺がなかなか首を縦に振らないでいると、リースは再度、深く頭を下げた。

「後生です。孝明だけでも預かってください、お願いいたします」

「ふうん?じゃあ、お前はどうするんだ?」

自分よりも弟分を大切にする男だと人情に訴え、自分もちゃっかり助かる気作戦?

だけど、そんな俺の発言を待ってたかのように、リースは口の端をわずかに上げた。

「では、孝明を確実にお願いしますね。素直で勤勉な明るい男です」

こちらが拍子抜けするほど、あっさりとリースは身を引いた。
そして、「私は…」と話しだす。

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