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僕ら× 2nd.

第12章 IF --Khs,Ar,Shu,R

そして、時間が流れ、その夜のリビング。
アルと俺が夕食後に好き勝手していると、ノックのあとにリースがやってきた。

これまでも、ブレーンの仕事部屋には出入りしていただろうけど、リビングに姿を見せたのは初めてじゃねぇか?

そう思って尋ねると、「とうとう呼ばれました」と、笑みを見せる。

「今更、年貢を納めろってのでもないだろ?」

「どうなんでしょうね」

窓際に立ったリースは、そのまま外に視線を流した。

「そういえばさ、盗聴ってバレねぇもんなの?」

この屋敷内が筒抜け状態だったら、それってかなり危険なんじゃねぇかと今頃思った俺は、リースに尋ねる。

「私たちが覗いたのは、鍵のかかってない通信だけです。組織の機密エリアは、量子レベルでしっかりと監視されているので、入ろうともしていません。ただ、絶対に安全かというとそこは」

「ちょっと待て。りょうしレベルって?」

この時、俺は、どうして漁師が出てくるんだ?と思って尋ねたわけで。

「はい、量子力学です。量子暗号化されたデータというのは、メッセージを光の粒に乗せて送るのですが、受けとるまでに誰かが不正に覗くと光子が変化してしまうので、本来ならすぐに気づかれて…」

「あ、それ、俺には必要ない学問だった」

質問した俺が悪かったんだろうけど、こんな話、アルに聞かれたらまた、俺とは異世界の解説が始まっちまう。
急ぎため息でリースを牽制し、隣に座る男を用心すると。

「花野ったら、脱ぎ脱ぎじょうずですねー」と、ほざいてる。

…よかった、気づかれてない。
花野ちゃん、ナイスタイミングと、安堵した俺なんだけど。

、、んん?

リースが少しばかり震えた?

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