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僕ら× 2nd.

第13章 ソーウ" キ プ 1 --Ar,Shu

質問しておいて無言とか、親子の会話としてあり得ねぇよな。

「何が言いてぇんだよ?」

そんなこと今まで、聞いたこともなかったくせに。
イライラ感を隠さずに俺が尋ねても、手を右額において、考えてるようなそぶりで固まる。

アルが式を挙げたわけだから、お前も…とか思ってくれちゃってる?
次は、俺の縁談で、相手は彩華さん?

なわけねぇよな。
こいつが考えつくのは、絶対そんなハッピーなことなわけねぇ。

彼女と手をとり笑いあえる、そんな未来を何度も望んだけど。
もう夢に見るのも疲れたっての……。

こないだ勝手に主治医を呼び寄せて、自宅へと連れ帰れないか尋ねてはみたけど、呼吸器管理が難しいだけじゃなく、栄養状態や看護体制の整わない場所では、たちまちに床ずれが起きると言われた。

俺だってそんな、強くない。
時が経つにつれ、どのように楽観視すればいいのか、わからなさが増すばかりの状態。
そんな様子をわざわざと、口に出して説明しろってのか?

今朝はバタバタしてたから、夕方過ぎにでも面会に行くつもりだけど、目を開けた彼女に会えるとも思ってない。

彼女のまぶたは閉じられたまま。
痛みにもほぼ、反応しない。

いつか、彼女の笑顔をもう一度見られる日が来るのなら、寿命が尽きるまで待つつもりではいるけれど。
本当のところは、現状維持でさえ奇跡なんだと医者は言う。

そんなの、奇跡と言えるかよ…………。

くっ、ちきしょっ。
こんなヤツからのひとことで、なんで俺がいちいち沈まなきゃなんねぇんだよ。
なにを企んでいるんだ?こいつは。

俺が睨みつけていると、しばらくしてやっと口を開いた。
それはまったく俺が予想していなかったセリフだった。

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