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僕ら× 2nd.

第13章 ソーウ" キ プ 1 --Ar,Shu

なのに、未だヤツは座りこんで、のんきに話す。

「そんなことして、お前が捕まったら困るだろ?」

「だから、俺じゃねぇっての!
ほかにわかってることを教えろっ!今、すぐにっ!」

俺は、本條の胸ぐらをつかんで吐露を促す。
一方で、頭のなかでは目まぐるしく思考が飛び交った。

これは、連れ去られた以外にあり得ない。
でもなぜ、彼女が標的に?
まさかとは思うが、身代金目的の誘拐か?
じゃなきゃ、その犯人にどんなメリットがあるってんだ?
それに、どう考えてもこれは、複数犯…。

もしかしてと俺は、たった今、思いついた心当たりを口にする。

「ネーゼの野郎か?今日の結婚式と関係があるのか?」

彩華さんを奪ったうえでの、有無を言わせない縁組なのか?
彩華さんとアルの人質交換のような。

その考えは最悪に近かったけど、何もわからない状況よりは幾分かましに思えた。
だけど、本條はかぶりを振る。

そうだよな。
さっきまで俺が関与してると疑っていたくれぇだ。
だったら…手がかりゼロと、いうことか?

そして、次にくるヤツの言は、俺を更なる奈落に突きおとした。

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