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僕ら× 2nd.

第1章 みをつくし --Shu,Tk,R

「そっか…。でも、こんな可愛いコと一緒に逝けたなら、幸せだったのかもね」

生きていれば高3ってことか。
若くして彼女と海外旅行なんて、お気楽な坊っちゃんだな。
あげくに…。

あっ、しまった!
リィ兄は自分の弟妹を否定しなかったんだ…。
俺っ、えぐるように怒られる…?

そんな俺をチラと見て、リィ兄が言う。

「……お前の中で幸せになれて、ヤツも嬉しいだろね」

そんな言葉が返ってくるとは思わなかった。

高校入学を目前に振りかかった悲劇に、彼女を守れなかった男に、幸せという言葉を送るなんて。
己、何様だよ?この無念がわからないのか?と。

こんな感じの台詞をいつもながらのスフマート(煙がかった感じ)におかされたような表現に変換しながら、突かれると思ったのに。

大切な弟妹なら、俺の侮蔑を含んだ失言に怒りで返しても不思議はないのに。
リィ兄は、ただ声なく笑った。

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