テキストサイズ

僕ら× 2nd.

第1章 みをつくし --Shu,Tk,R

「リィ兄は総帥次男を知ってるんだ…」

俺と同時期に父さんの下に入ってきたのなら、接点はないと思っていたけど。
その前は海外にいたって聞いてるし。

「知ってるよ」

あ、次男が留学していた時に、世話したのかな。

「どんな男だったの?」

今までの俺の想像での次男は賢いものの、ちゃらけた男だった。
だけど、写真ではそんな印象なかったな。
真面目っぽい可愛い男のコだった。

リィ兄は、考えながら教えてくれる。

「…んー?未熟な小心者」

リィ兄の顔が緩む。

「ええ?」と俺が驚くと「あはは」と笑った。

「次男、見つかるといいね」

俺はそんな言葉しか選べなかった。
渦に巻かれ、石におろされては、もう見つからないのではと、誰もが思っているだろうけど。

「見つかったら、どうなるかなぁ?」

どうなる?
死体じゃなく、生存して見つかるってこと?

あれから2年だよ?
見つからないのなら、…。
そんなことは口が裂けても言えないけれど。

なのにその口ぶり。

「嬉しくないの?」

「俺?俺は、居ないことに慣れたとゆーか。周りが慣れたことに慣れたとゆーか。あのふたりは、あの座標での永遠…」

それが、どういう意味なのかはわからなかったけど、リィ兄にとっては極めて大切なふたりなんだってことは、わかった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ