テキストサイズ

僕ら× 2nd.

第3章 俺色 --Ar,Kn

~吉坂侑生side~

本日は休日なのに、昨夜から家の仕事を承ってる。
若いと思ってホント酷使するよな、親父ら…。

朝食抜きだった俺は、出された昼食を掻き込む。
まだ仕事は残ってる。
明日に響かせないように、早く終わらせたい。

そんな俺の前で、試験勉強中なのかハル(千春:従姉2)が叫ぶ。

「アルカリ性と酸性が覚えられなーい!」

「あ、俺もわかんね。リトマス紙だろ?」

隣で食っていた柊(従弟)がそう言うので、俺は教えてやる。

「梅干しは酸っぱい」

2人は俺をチラっと見たけど、なかったかのように会話を進めた。

「…赤とか青とか、統一して欲しい!他にも黄色とか緑とか!」

「だよな。変に単純だからこそ覚えにくい」

「そうなの!複雑な言葉の方が覚えやすいのよ。"姫、囲炉裏、吹っ飛ばす(必須アミノ酸)"なんて即覚えられたのに!」

「すっげぇ姫だな」

「必死アミノ姫なのよ」

そのまま脱線するかな?とも思ったけど、もう一度俺は言ってみた。

「梅干しは酸っぱい」

「知ってるよ!も、黙って食っとけ」

「他にも色々反応があるでしょ?もうごっちゃになって。BTBとかフェノールフタレインとか!」

「だから、梅干しは酸っぱいって言ってるだろ?」

教えてやってるのに、聞けっての!
なのに柊は、俺の茶碗を覗いて意味不明の反応を示す。

「あ?おかわりか?」

「ちげぇよ。リトマスなら酸性は赤だよ。赤い梅干しは酸っぱいんだよ」

そこでようやく、ヤツらは俺に注目した。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ