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僕ら× 2nd.

第4章 ライムライト --R

「ところでさ。俺に似てるって、どんなヤツだったの?」

そう尋ねると、少し考え込みながらもヤツは昔話を始めた。

「顔は似てないわ。でも、彼もスポーツマンでね、サッカーをしてたの。MFでね…」

同じサッカー部に入って、楽しかった出来事を部屋に敷き詰めていく。

「それでね、ヨーダったらジョギングしてると、音楽室の前でだけはゆっくり走るの。意中のコがね、ピアノを弾いてるから。もう、部のみんなにバレバレ」

「へぇ、そうなんだ」

あいつ、自分からバラしてたんだ…。

「フラレたのにね。亀みたいに首伸ばして通るの。男ってそんなもの?」

ヨゥも一緒に首を伸ばす。

「わかるよ。俺もそうすると思う」

彼女と中学で知り合ったなら俺は、どうしていただろうな。
その彼女には、すでに特定の男がいたら…。

「そう?そのうちにね、そのコは幼馴染とくっついちゃって。も、諦めたらいいのに、ふっきれないみたいで」

「学生の頃ってそんなもんだよな」

ただひとりを心に抱いて、気を逸らすなんて器用なことは思いもつかなくて。
ふとしたことで一喜一憂して。
届かないからこそ理想に仕立てあげる。

自分の穢れなきを信じて、彼女に捧げるんだ。

俺も、彼女だけだと思ってた。
自分が他の女となんて、想像もしていなかったよ。
彼女が手に入らなくて。
彼女が他の男と手を繋いで。

それでも彼女は俺の純粋なる唯一の女のコで。

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