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僕ら× 2nd.

第4章 ライムライト --R

「その女のコはね、私から見ても可愛くって。同い年なんだけど、つい頭をなでなでしたくなるコなのよ。一家に一台、彼女が居れば、犯罪なんて起こらない。そんな気分にさせるコよ」

「一家に一台?家電か?」

この時点でムッとする。

「ううん。ハッピーな童話の中で生きてるみたいなコ。ずっと本の中に眠っててくれればいいのに」

そう言われてカチンときた。
その突き放した言い方に、トゲをみた。

「それ、酷くない?」

彼女の笑顔の下にあるのは、笑顔だけじゃないんだ。
それは、人間誰しもがそうだろ?
お前は人一倍わかってるだろ?

モノ扱いされることが、どんなに人を傷つけるか。
人間、最終的にはそこだと思うな。
絶望的な疎外感が最大の窮地だと、俺は思う。

「ただ待っている能天気な姫じゃないのよ?眠り姫だって元は、戦姫ブリュンヒルデ(大雑把にいうと、人を助けて眠らされた姫)かもしれないでしょ?」

「あれは、ハッピーじゃないだろ?幸せは一瞬」

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