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僕ら× 2nd.

第4章 ライムライト --R

俺がリストバンドを見つめていると、コーク片手のヨゥがまた話しだした。

「あなた、私が誰の話をしているかわかってるの?」

だよな。
そう思うよな。

「いや、わからないけど。俺の好きなコもね、そんなこと言われたことあったから、かばいたくなったんだ」

「ふうん?片想いなの?」

「答えたくない」

俺がそう言うと、「あらあら」と口角を上げて話を続ける。

「…で、彼女の彼氏…その幼馴染が、曲者」

「え?何で?」

曲者はお前だろ?
中3の時、俺たちにお前は何を飲ませたよ?
お陰で俺、彼女のピンクの……。
あ、思い出したいけど、今は思い出しちゃいけない。
俺はヨゥのくれた飲み物を鼻で確認し、あの翌日に訪れた頭痛を嘲りながら問う。

「彼女にベタ惚れ」

…ああ、そうだろうよ。

「それのどこが曲者?」

「基本優しくて、紳士的な何気ない気遣いができるのよね。だから、女子はドキッて思った直後に"あ、好きなコいるんだ"って失恋なのよ。ドラマーで、見た目もカッコいいから、密かにモテてたのよ」

カッコいい?
いやいやいや…おかしいだろ?
天パのチビッ子だぞ?
ドラムに埋もれてんだぞ?
お前も散々言ってなかった?

だけど、俺の知るはずもない男の話。
「そうなんだ…羨ましいね」と、俺は抜けた返事をした。

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