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僕ら× 2nd.

第4章 ライムライト --R

彼女の夫役:ルイは活発で、クラスで何かを始めると、だいたい一番でこなしてみんなの手本となる。
縄跳びの二重跳びも、鉄棒の逆上がりも。

そんなルイは、やっぱり人気者で、モテていたな。

彼女も満更じゃない様子で、夫婦役で寄り添って、ふたり何か喋っては笑いあって。

猫耳の自分は疎外感たっぷり。

誰かに「おい、プス~(猫ちゃん)」なんて呼ばれて、気分、最はつかないものの、悪。

お弁当の時間、いつもは彼女と並んで食べていた俺。
その日も彼女は俺の横に来てくれたのに。

「ルイと食べたら?夫婦なんだから」

そう言って追い払った。

その後も何かある度に、「あいつの隣、あいてるよ?」「旦那がいるのに、浮気しちゃダメだよ?」なんて、相当いじけていた。

それでも俺の傍に来てくれる彼女。

うん、あいつよりも俺を選んでくれるんだね?
って安心して。
あいつと仲良くしてるのを見ては、また試して突き放して。

を繰り返した。

彼女には、自分だけを見てほしかったんだ。
だけどそんなこと、面と向かっては言えなくて。

今思うと、あれが好きなコいじめだったんだなぁって。

…しまいには彼女を泣かせた。

「ハニィのこちょ、きやいなのぉっ?」

ポタポタ落ちる涙に、俺はようやく我にかえった。

たかがお芝居の役柄にこだわって、俺って情けない。

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