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地下アイドルの休日

第4章 東北珍道中

それにしてもラブホテルを見てあからさまにはしゃぐとは、さすが天真爛漫なちはるんである。

「ダメでしょ、ラブボを見たぐらいではしゃいだりして。女のコが、アイドルがはしたないでしょ」

とあやのんがたしなめると・・。

「うわぁ、ラブボぐらいだって。あやのんは行ったことあるの?」

なんだか興奮しちゃったちはるんのテンションは止められない。

「あ、あるわけないでしょ」

とあやのんは顔を赤らめて恥ずかしそうに言う。女社長はそんなあやのんを見てホッとした表情を浮かべる。

「あたしもないよ」とあっけらかんと言うちはるんを見て、そりゃそうだろうと居合わせた誰もが思った。

「じゃあさ~、今度あたしと一緒に行こうよ💕」

とちはるんが言い出すものだからあやのんは飲みかけていたペットボトルのお茶を吹き出した。

「何をバカなことを言いやがる」とあやのんは咳こんで涙を流しながら言うが、

「あやのんになら女の操を捧げてもいいのよ💕」
とちはるんは追い討ちをかけるように腕を組む。

「やめんかい、バカヤロー。誤解されるじゃないか」

とあやのんは噎せながらも腕を振りほどいてちはるんの頭を軽くはたく。

そのやり取りを見て不機嫌そうだった女社長がアハハと盛大に笑った。

最近はお笑いのレベルが下がっていてあまり面白くもないのが多いと思っていたが、この二人の漫才の方が余程笑えると思った。

しかも、この二人はネタを作っているワケではなく天然だから尚面白い。

ちなみに、今年もそうだったが、以降ここへ来るとちはるんがラブホテルに興奮をしてあやのんと漫才が始まるやりとりは毎年行われるようになる。

そうこうしているうちに車は業者の事務所に到着したが、事務所はシャッターが閉まっていて車もない。

イヤな予感はしたが、こういう時は一応はシャッターをバンバン叩いてみたり、裏に回ってみたりするのが人間のセオリーというものだが、案の定全く人気はない。

しばらく車で待機したが、全く業者たちが来る様子もない。とっとと機材を積み込んで東北に向かわなくてはならないのにこんなところで時間をロスするとは・・。

女社長はイライラしてついに業者にケイタイで電話をかける。

「はあ?ふざけんじゃないわよ、今どこ?」

相手が応答するなり女社長は声を荒げた。

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