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『untitled』

第3章 一線を、越える

ホテルに戻ってきた。

「凄かったな…」

昼間の興奮が、まだ、俺の体を包んでいる。

「疲れたな…」

明日の試合校のチェックをしようと番組がまとめてくれた資料に目を通す。

古田さんの話はすごく興味深くてつい、収録のあとも時間を忘れて質問攻めにしてしまう。
だけど、古田さんは一つ、一つ丁寧に答えてくれて。
野球への愛を感じることが出来て、なんて、幸せな仕事なんだろう。

が。

この夏の大仕事に集中したいのに…

感動をみんなに伝えたいのに…

「どういうことだよ!これは!」

基本的に自分の仕事に集中したい。
言い方を変えればメンバーの個人の仕事まで気を回すことが出来ない。

あれも、これも…出来ないタイプなの。

ニノが一番知ってるんじゃないの?

いつだったか、翔ちゃんが新聞読みながら、ご飯を食べてて。
相葉さんは出来ないでしょ?ニノがあまりにしつこくて。
「俺だってな、新聞食べながら、ご飯読めるよ!」って言っちゃったんだよ。

ニノは面白ろおかしく話してたけどさっ…

ニノが今日をすごく楽しみにしてるのは知ってた。

俺が大阪へ行くとき、ニノなりの応援をしてもらって。

ほら、ニノって素直じゃないから。

俺も今日が上手くいきますようにって。

なんなら、神社に行ってお参りしたいくらいだったのに。

それなのに。

ニノって…

先輩にはこんなに素直になっちゃうわけ?

ニノと先輩との2ショット。

「ん?これ…」

このパンツ…

俺とオソロのやつ。俺のはすでに控えメンバーだけど。
ニノはいつまでもそれをスタメンに入れてくれてて。

翔ちゃんからのLINEを見たとき、思わずスマホを投げてしまいそうになった。

大暴投になりそうだけど。

「明日のために寝たいのにぃ~!!」

イライラはちっとも収まらない。

翔ちゃんからのLINEに激おこスタンプを連打して送信して。

「もっかい、シャワー浴びよ…」

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