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Living with Simone アイツと暮らせば

第17章 部屋の鍵

「取り合えずお前が大好きなポリス呼ぼうな?」

911をアイツに見える様にして電話を掛けた。

「ここまで来るのに平均約5分だ。お前にあるのは5分だけだ。」

ミカはそういって、通話ボタンを押してルカに電話を渡した。

「家の鍵を返しに来たんだ。」

シモーネはミカに鍵を見せた。

「なんだよ今更…そんなの前の家のだし。いらねーよ。」

「俺…膵臓ガンなんだ。」

ルカがミカの後ろで一瞬、
オペレーターと話すのを止めた。

「それで?」

…だから何だっていうの?

ミカは怒りが込み上げて来た。

「余命半年だって言われたんだ。」

「あんたの余命が私にどう関係あるの?
知りたくも無いし、聞きたくも無い…てか、お前に興味なんてねーんだよ!!お前のせいで
私は仕事を失うところだったんだぞ?この国に居られなくなるとこだったんだぞ?お前が私に唯一してくれた事は、ダンを紹介してくれた事ぐらいだ!
お前の生き死により、私は自分の仕事…そっちの方が大切なんだよ!!!!」

「だから 謝ってるだろ?!」

「おいおい謝罪する時は、
そんな風に謝れって里親に教えて貰ったのか?
お前のやってきたこと全部聞いたよ。」

シモーネは驚いてそれからとても悲しそうな顔をした。

「余命幾ばくも無いから許して貰えると思ったの?
悪いけど、もう我慢の限界だった。
私はお前を許さない。」

「俺のこと…誰から聞いた?」

「うるせぇな。お前には関係ねーだろ?今更そんな事聴いてどーする?過去に何があったか知らねーけど、お前もう大人だろ?なんだって自分で出来るだろ?」

遠くからパトカーのサイレンの音が聞こえて来た。
ルカは、電話でこちらの様子をみながら、ポリスと電話を続けてる。

「友達いねーのも、オメェが人の嫌がる事ばっかして、迷惑かけてるからだろ?自業自得だバーカ!」

ルカは、外を見て今か今かと、パトカーを待っている。

「クズ野郎を通すなら、
死ぬまでクズやってろよ!意地張るなら最後までへそ曲がりで通せよ。とりあえず、お前の葬式参列者リストからは私の名前を消しとけよ?」

シモーネは、慌てる様子も無く、
玄関を出かけたところで振り返って笑った。

「またな。腐れまん●!」

サイレンが聞こえているのにも関わらず、パトカーが来たのはそれから10分程してからだった。

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