恋人⇆セフレ
第11章 空白
会釈をすると、真木さんも小さく会釈を返してくれ、目の前の男の人に何かを伝えた。
ーーーーーと。
「…ーー」
真木さんを見ていた大きな瞳が俺に向けられ、その瞳とかち合った瞬間、はっと息を呑んだ。
やっぱり、似ている。
志乃さんよりも幼く、目は丸みを帯びているけれど…雰囲気とか、パーツとか全部瓜二つだ。
「おにーさん」
「え、」
そのことに茫然としていると、いつのまにか目の前に来ていたその子は、コロコロとした声でそう言った。
志乃さんよりも身長が小さい為、必然的に首を下げる。
すると、赤づいた薄い唇が、白い歯を覗かせてふっと開いた。
「おにーさんが俺の恩人?」
あぁ、ダメだ。こんがらがる。