恋人⇆セフレ
第11章 空白
改札前。
あまり認識したくない長身の男。
前にみた時よりも髪が伸び、目があまり見えないが、誰かはすぐに分かった。
ーーーーーー澤木真さん。…真木、さん。
硬い無表情とは裏腹に、優しい手つきで細身の男の頭を撫でている。
細身の男を認めたその一瞬、心臓が握りしめられるような痛みが走ったけれど、すぐにあれ?と思う。
遠くてもわかる、透き通った肌。
サラサラの黒髪に、爽やかな雰囲気。
俺が今さっきまで探していた人の特徴とぴったりのはずなのに、ものすごい違和感が俺を襲っている。
…あれは、本当に志乃さんか?
「……?」
「…あ」
じ、と見すぎてしまっったからか、真木さんがふとこちらを向いた。
目が合った瞬間、大きく見開かれる瞳。