恋人⇆セフレ
第14章 エピローグ
あれから数ヶ月。夏の空気から秋の空気に変わる頃、伊織からこの指輪を貰った。
そりゃめちゃくちゃに泣いたし、答えは1つしかなかった。
一生傍に居てほしいと言う俺の願いを、伊織はさらりと叶えてくれるんだ。
「じゃあ、行きましょうか」
「ん」
当たり前のように差し出された伊織の左手にも、俺と同じ指輪がある。
「おい、時間がないんじゃないのか」
手を重ねて暫し見つめ合う俺に、真木が痺れを切らしたように急かしてくる。
呆れた顔だが、まあ分からないこともない。伊織のせいで俺もバカになってきてしまっている。
「悪いな、じゃあまた」
慌てて上着も持ち、目立たないよう手を握りながら行こうとした俺らに、
「ーーー幸せか?」
と、真木の静かな声が投げかけられる。
その言葉に一緒に立ち止まり顔を見合わせた俺らは、
「「幸せ」」
と同じような笑顔でそう答え、真木の柔らかな笑顔に見送られながら、これから共に過ごす場所へと足を進めたのだった。
ー終ー