恋人⇆セフレ
第12章 春がきて。
『彼が夢に出てこなくなって、幾つもの季節が過ぎた。
彼との繋がりは酷く脆い夢だけだったのだと痛感する。
たかが夢。
けれど、彼に抱いた想いは本物だった。
きっとバチが当たったのだろう。毎日彼に会えると過信して、その状況に甘えていたのは私。何も努力しなかったのは私。
それならば。今からでも遅くないのならば、私は消えゆく運命に抗いたい。私は彼に会いにいく。例えこの世に存在しない人だとしても、少しの可能性があるなら、その光に縋りたい。
なぜなら私は、彼を愛してしまったから』