恋人⇆セフレ
第5章 俺の犬
カタンッ
「っ」
足がパソコンに当たった直後、俺の視界は反転していた。
背中はふわふわとした感触。足の間に滑り込む長い足。ガッチリと片手で固められた両腕。興奮ではっきりとしない視界に映る、伊織の綺麗な顔。
ーーー押し倒されている。
そう頭で理解しているのに、俺の意識は逃げることよりも、このどうしようもない熱にばかり行ってしまう。
はぁっと熱い吐息を自然に口からこぼすと、伊織は何かに耐えるように目を強く瞑った。けれどすぐに目を開けて、言いようのない、複雑な表情を浮かべる。
「伊織…?」
「…今からする行為はただの発散だと思ってください。…なんなら、志乃さんの好きな人の手だと思ってくれて構いません」
「は…?待て、」
俺の制止の声はあまりにも力がなかった。
簡単に下げられたズボンに目を瞠る。けれど、黒いボクサーパンツを押し上げる自身の熱い欲望を見てしまっては、口をアグアグさせるだけで何も発することができなかった。
伊織は、僅かに驚いた表情を見せてすぐ、きゅっと表情を引き締めた。今日はそんなに暑くないのに、俺の両手を拘束した手は燃えるように熱い。
「もうこんなに…?」
「っやめろっみ、見るな、」
「ピクピクしてる」
「ンッ!」
する、とパンツ越しから指先だけの力でソレを撫でられて、出したくない声が漏れ出る。
バカバカバカ!!止めろよ俺!!!