恋人⇆セフレ
第5章 俺の犬
やばい、気持ちいい…ッ
怖い…っ
こいつに触れられるのが嫌なんじゃなくて、全然嫌じゃない俺自身が、嫌だ…っ
「は…ッぁっやだ、やだ…ッ」
「何が嫌なんですか?」
「このやろ…っんんっ」
ふっと伊織の熱い吐息が首筋にかかる。いつのまにか嗅ぎなれた柔らかな香りは、雄の匂いが混じっていて、更に俺の理性を刺激する。
くちゅくちゅと次第にいやらしい水音が痺れる耳に飛び込んできて。真っ赤であろう耳朶を柔らかい唇が触れる。
「ビクビクしてきた…。そろそろイキそう?
…ここ、好きですよね?」
「アッ!」
竿と先っぽのくびれの部分をぐりっと指で刺激され、腰が大きく浮いた。
それから、容赦なくグチュグチュと激しく手が動き始め、視界に星がチラつく。
「も、離せ…っ!」
ダラダラと際限なく零れ落ちる先走りは、いつも珈琲を繊細に入れる指を汚している。
それが余計に背徳感を覚えて、腰にずくりとした快感が数回走った。
「…目、瞑ってていいんですよ。今は俺を見てなくていいですから」
「うっぁっそ、いうことじゃ…ッ」
「彼の名前も呼んでいいです」
ちゅ、ちゅ、と耳の先や首筋に落ちるのは甘いキスなのに、同じ唇から発せられた言葉の温度は限りなく低い。
ふわふわとした快感で思考が鈍くなっているけど、それをしてしまったらダメだというのは、志乃の今の頭の中でも分かっていた。