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恋人⇆セフレ

第5章 俺の犬




綺麗な二重の瞳が真摯に俺を見つめる。俺も負けじと見つめ返すと、その瞳はふっと愛おしそうに細められ、俺の瞼にそっとキスを落とした。



なんか、甘くて…いや甘すぎて、くすぐったいんだけど。



「志乃さんを抱く前に、もう一度言わせてください」


「何をだよ」



この甘ったるい雰囲気が照れ臭くて思わずそっけない返事をしてしまったけど、耳は馬鹿みたいに熱い。きっとそのことに伊織も気づいてる。



だって、伊織が唇に浮かべる笑みはますます深くなるばかりだ。




「俺が、志乃さんの全部を受け止めるし、大事にします」


「…」


「好きです。俺と、付き合ってくれませんか」



好きです。



久し振りに聞く擽ったいこの響きに、思わず身を捩る。



「っお前は、いつも言葉が直球すぎる!」


「え、そうですか?伝えたいから伝えてるだけですよ?」


「っそ、それもだ!!こう、ブワッてなるからやめろ!」



「なんですか、それ」



堪えきれず吹き出した伊織は、暫く笑ってから息を吐くと、優しく親指で俺の目元をそっと撫でた。その瞳は、さっきよりも愛しさを滲ませている。



「ねえ。返事、してくれないんですか?」


「っ」


「してくれなきゃ、俺、何もできないです」


「このやろう…」



もうさっきの言葉で分かってるくせに、一丁前に俺をいじろうっていうのか?


ニヤニヤしてる顔で丸わかりの魂胆だが、いいだろう。ノッてやる。



フッと挑発するように笑い、俺もそっと伊織の頰に手を添えて、さっきのキスで濡れた唇を親指でなぞった。



「いいよ。多分きっと…絶対、お前のこと好きになる。これから一緒にいよう、伊織」


「へっ」


「だから、お互いもう遠慮はなしだから」


「えっちょっ志乃さ…っ」



想像した通りの反応を見せた伊織に笑って、俺は半分開いていた伊織の唇にかぶりついた。



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