恋人⇆セフレ
第2章 お前がそうするなら、
あれから2週間。
冗談だろ?と思っていたけど、本当に真木から一度も連絡は来なかった。
だけど、俺から連絡なんて絶対にしたくない。一番初めに告白してきたのは真木の方だ。よりを戻そうって言ってくるのだって、いつも真木だったんだ。
あいつの方が好きな癖に、縋り付くようなみっともないことなんてできない。
「くそ…っイライラする」
いきつけのカフェ。誰もいない喫煙席の端っこで呟けば、更にイライラが募った。くそ、行き場がなさすぎる。
「アイツ、急になんだよ。会わないって何?一生ってこと? 意味わかんねえ」
大体、情事の後に冷めるようなこと言うなよ。空気読めない奴は大嫌いだって知ってるだろ。
チッと思わず舌打ちを零す。すると、喫煙席の入り口のドアが開いて、背の高い男がニコッと笑いかけてきた。
「失礼します。お待たせ致しました。ブレンドコーヒーです」
「あぁ、ありがとうございます」
早朝に大体いるこの男は、常連の俺の好みを覚えていて、ミニトレイにはしっかりとシュガー2つが乗せられていた。
そして、いつもなら愛想よく「ごゆっくりどうぞ」と仕事に戻るのだが、何故かその日は違った。
そいつから感じる視線と、ソワソワしたような空気に、堪らず声をかける。
「あの、何か?」
「わっすみません!喫煙席にいるの初めて見たので…何かあったのかなと思って」