恋人⇆セフレ
第5章 俺の犬
ピンポーーーーン
無機質な音が鳴ったのは。
「「……」」
俺たちは同時に動きを止め、瞬きをしながら目を合わせた。
どんなタイミングだよ!とキレたくなる。
だが、無視だ。急に来るような奴が悪い。今はこっちの方が数億倍大事なんだよ。
「出ますか?」
「いや、いい。する。絶対する」
ピンポンピンポーーーン
「…これ、お知り合いなんじゃ?」
「連絡来てないし、突然来る奴が悪い」
もういいだろ、と意識が扉の向こうに行っている伊織の顔を自分に向かせ、仕切り直しだとキスをしようとしたところで。
「志乃」
聞こえるはずのない声が聞こえ、今度は俺が扉の向こうに全てを持っていかれてしまった。