恋人⇆セフレ
第5章 俺の犬
まだ指一本。
最後にしたのはもう1ヶ月以上前。
こいつのデカイそれ。
色々考えてもまだ早いけど、もう俺は伊織が欲しくて堪らなかった。
空調が効いてるのに、額を汗で濡らしている伊織も、きっと限界が近いだろう。
「いれて…」
「えっ?」
俺はくたりとした腕を精一杯伸ばして伊織に抱きつき、腰を押しつけながらそう言った。
「挿れて、伊織…お前が欲しい…」
「しのさ…わっ!?」
ぐっと力を入れて一緒にソファに雪崩込ませると、伊織は慌てて俺の顔の横に両手をつき、目を瞠らせて俺を見た。
そのまま強引に首も引き寄せ、伊織の頬に自分の頬をすり寄せる。
「も、待てないから…挿れて」
「、」
ぐっと、引こうとした腰に足を巻きつけ、体を揺する。
まるでおねだりする子供のようだと思うけど、どうやら俺は快楽に弱いらしいから。今はもう、伊織にめちゃくちゃにして欲しくて堪らない。
「なあ。これも却下か?」
そんな俺の意地悪な質問に、伊織は困ったように眉を下げた。
「それはずるくないですか?」
「さっきまでずるかったのはお前だぞ」
「そうでした」
伊織は力が抜けたように笑うと、さっきまでの深いキスとは正反対の、戯れのようなキスを数回唇に落とし。
「実は俺も、今すぐ志乃さんが欲しくて堪らなかったんです。
…ゴム、つけるので少し待ってください」
耳元で囁かれた言葉にゾクリとする。
俺…とうとう、伊織とセックスするのか…。
伊織は情欲を滲ませながらも笑みを浮かべ、ソファの下に置いてあった鞄に手を伸ばした。
ーーーーーーーその、瞬間だった。