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月の木漏れ灯図書館

第6章 月下美人

夏の夜の森。

その中に聳え立つ洋風の建物。


創立者の趣味が世界旅行だと風の噂で聞いたことがある。なかでもヨーロッパが好きで、ゴシック建築をイメージしたオリジナルらしい。一応、学校である。

夜の森には珍しい花が季節ごとに咲く。今咲いてるのは白瑠璃だろうか。


初夏から夏の終わりにかけて咲く花で、図書の先生が好きな花だと教えてくれた。“まやかしの恋” “幻想の幻想”という花言葉だと教えてもらったが、一体どういうときに生まれた言葉だろう。


群青の小道を歩く度瑠璃色の髪が揺れる。

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