子供じゃない…上司に大人にされ溺愛されてます
第5章 俺の天使
真木誠也side
麻生が体を壊すのも納得出来る働きぶり、総務課は他の部署とのパイプ役。
本来なら俺が、営業部長になって間もない麻生を、
サポートする側なのに、同期でもありライバル、
個人的な感情で放置していた。
激務だったとすぐに分かる業績、個人の能力一つ一つに、
麻生が上手くフォローしていた。
健康診断の結果は過労の一歩手前、白血球が少なく、疲れがデータに出ていた。
貧血傾向もあり、休息が必要だと、仕事内容のフォローを申し出たのに、
相変わらずのプライドの高さ。
営業部長の有給休暇のフォローに、営業部に出入りして、
昼休みに愛莉の家に、お見舞いに行く事にする。
差し入れを購入して、今朝電話で会話した時の愛莉の様子を思い出す。
……嫌な胸騒ぎがして、昼休みを削ってでも、逸る気持ちを押されて、
愛莉の住むアパートに向かう。
同じ造りのアパートなのに、
いつも愛莉の家の前だけは、花のような甘い香りがする。
インターホンを押して、返答を待つ。
ますます嫌な予感がして、何度もインターホンを押した。
鍵の開く音がして、ドアが開いて、麻生の姿を見て、
ギクリとした。
……こいつっ、
ぎりっ、
思わず歯を食い縛った。
麻生は上半身裸の姿で、パンツ一枚だけ履いていたんだ。
「……真木、随分と早かったんだな?」
ドアを開く麻生、
強引に部屋の中に入って、愛莉のリビングに踏み込む。
そこで俺の体は凍り付いた。
ソファーベッドに布団が敷かれて、その上で横たわってるのは、
裸の姿、小さな体の愛莉。
ぐったりと横たわっている。
「………っ」
ゴミ箱にはティッシュの山、使用済みコンドームがいくつかある。
どう見てもこれは……っ、
「……お前、愛莉になにを…、まさか、無理やり……!?」
麻生の体を思わず掴み、殴り掛かりそうになり、その体が熱いことに気付いた。
「……ごめん、自分でも分からない、ただ、理性が保てなかったんだ」
麻生の言葉を聞き、愛莉の傍に行く。
「……愛莉、大丈夫か?……おいで?もう、君をこんなところには置いておけない」
うっすらと、目を覚ます愛莉に、手を伸ばす。
このまま、俺の家に連れて帰る。
もう、麻生の傍には……置いておけない。